ドラム缶工業会

ドラム缶取扱上の注意事項

放射能汚染土壌などの保管に鋼製ドラム缶を使用する場合の注意事項

鋼製ドラム缶は低レベル放射性廃棄物の保管容器や埋設容器として数多く使用されてきました。保管(仮置き)は、屋内で湿気を避けた場所で行われています。また、内容物には水分、塩分、酸、アルカリなど、錆や腐食を引き起こすものは含まれていないか、あるいは内容物が直接ドラム缶の内面に触れないようにビニール袋に入れています。このような十分に管理された条件下であれば、20年以上の長期保管でも問題は発生していません。但し、埋設容器の場合には、埋設後に掘り出されることはないため、埋設後の容器性能維持は一切考慮していません。

従って、上記条件と大きく異なる屋外保管の場合、あるいは内容物が水分、塩分、酸、アルカリなどを含んでいるかどうか判らない場合は、上記の管理条件に極力近づけるために必要な配慮を施した上で鋼製ドラム缶をご使用下さい。具体的には、以下の注意事項と説明資料をご理解された上で、ご使用下さい。

尚、鋼製ドラム缶はJIS に規定された容器性能を満足していますが、不適切な使用方法に起因する品質問題(漏れ、錆等)についてはドラム缶メーカーとしては責任を負えませんのでご了承願います。

1.屋内保管の場合
長期保管条件として最良であり、容器寿命を最も長く保てます。
下に示します、ドラム缶の仕様および点検要領を確認頂き、ご使用下さい。
2.屋外保管の場合(覆土なし)
長期保管条件としては屋内保管より劣り、容器寿命は屋内保管よりも短くなります。
下に示します、ドラム缶の仕様,保管場所の条件および点検要領を確認頂き、ご使用下さい。
3.屋外保管の場合(覆土)
容器寿命は最も短くなります。
覆土する前に防水シートでドラム缶を覆ったとしても、換気装置がない場合は、腐食の進行が速く、搬出しない前提の埋設容器としての使用の場合を除き、保管方法としては推奨致しません。
「使用するドラム缶の仕様」
  • 使用するドラム缶の仕様内容物が水分、塩分、酸、アルカリなどを含んでいる場合がありますので、必ず内袋として樹脂袋(ポリエチレン等)を用い、ドラム缶の内面に内容物が直接触れないように配慮して下さい。
    尚、内容物収納時に、内袋が破れないように十分配慮して下さい。→腐食による穴開きの防止のため。
  • ドラム缶に使用される鋼板の板厚は、1.2mm 以上をお勧めします。→板厚分の寿命延長のため。
  • ドラム缶の内面に塗料を塗った内装缶を使用することをお勧めします。→内部からの腐食を遅らせるため。
「保管場所の条件」
  • 屋外保管の場合は、水に漬かることがない場所を選び、地面に直置きをせず万棒(スキッド)やパレットの上にドラム缶を置き、風雨に曝されることは避けて下さい。特に、天板に雨水が溜らないように、防水シートなどによる覆いが必要です。→外部からの腐食進行による穴開きの防止のため。
    保管場所の条件
  • 天板を上にした状態でドラム缶を縦置きし、段積みしない平置きをお勧めします。→天板外れの防止のため。
「保管状態の点検要領」
  • 定期的に、防水シートの健全性、ドラム缶の錆や腐食の状況、天板の膨れ(内容物の腐食によるガスの発生)などをチェックして下さい。
  • 海からの塩害のある地域での屋外保管は腐食がより速く進みますので、短ピッチでの点検を行なって下さい。
  • 最終処分に向けて搬出される前に、腐食で穴が開いていないか、ハンドリング゙可能か等を点検して下さい。